■鬼平・中村隼人が絡んでくるか

 その一方で、《検校と瀬以(瀬川)の別れがどうなるのか凄く気になってきた。検校の失脚に伴い二人が別々の人生を歩むことになるのは間違いないんだけど、瀬川の気質からして地位も財産も失った検校にハイサヨナラ~はできないと思うんだよね》などと、史実を知っている人たちから、瀬似(小芝)と検校(市原)の今後が気になるという声も。

 想いを寄せていた蔦重(横浜)に再会した妻の心の動きを、見えなくても気配でわかる、検校の切なさがひしひしと感じられた。一方の瀬以も、取り繕っても夫に気づかれているのは明白。蔦重への想いと、検校への申し訳なさが入り混じった、小芝の演技は見事だった。これが見られなくなるのはもったいない。

 ただ、史実では検校はこのあと、悪質な高利貸しを幕府に咎められ、江戸市中から追放される。当時の吉原を精緻に描いてきた本作だけに、身請けされた花魁のその後も描く可能性は高い。検校の没落とともに、瀬以が登場する機会はまだありそうだ。序盤に若き頃の“鬼平”こと長谷川平蔵(中村隼人/31)が出ていて話題になったが、火付盗賊改方になった鬼平が、検校の捜査をするという流れもあるかもしれない。

 横浜流星とともに前半の『べらぼう』を、花魁・花の井、瀬川として引っ張ってきた小芝風花。今後は、悲劇の妻・瀬以として楽しませてくれそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。