■リアリティが感じられない『おむすび』
また、結が管理栄養士として働き始めて一番多かったのは、《それは管理栄養士がやることではない》という声。以前も膵臓の腫瘍を見落としたことで、結が責められるエピソードが描かれ、そうツッコまれていた。今回も同じく、心に傷を負った少女・詩を結が立ち直らせようとしたが、総合病院ならばカウンセラーや精神科医に任せたほうがいいのではないだろうか。
本作は管理栄養士編が物語のゴールであるはずなのに、その描き方があまりに雑なのだ。同時期に芳根京子(28)主演の『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)が放送しているので、よけいにそう思える。『まどか26歳』は研修医の専攻医科ローテーションがメインで、院内連携の大切さをリアルに描いた。それに比べると本作の院内描写はゆるすぎ、薄すぎで、見ていて冷めてしまうのも無理はない。
描写のゆるさは病院の管理栄養士に限った話ではない。これまでも、就職にしろ、出産にしろ、東日本大震災にしろ、しっかり描くべきエピソードが、きわめてサラリと描かれて、軽くトントンと話が進んでしまうので、「ダイジェスト朝ドラ」という言葉が出てくるほど。それが『おむすび』らしさなのかもしれないが、その食い足りなさが視聴率の数字にあらわれているのではないだろうか。
3月21日の120回で、高校時代の書道部の風間先輩が出てきたが、最終週も、懐かしい登場人物が顔を見せつつ、聖人(北村)と愛子(麻生)の糸島移住、翔也(佐野)の理容店の引き継ぎ、花(新津)の成長、歩(仲)と詩(大島)の関係が描かれるだろう。そうなると、トピック満載でまたもや結の存在が薄くなりそうだが、最後ぐらいはしっかりとヒロインの姿が描かれることに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。