■令和の需要にアジャストした爆売れの手帳

 実際、2022年から発売さている『推し活ライフ手帳』は、オンライン書店で即完売するほどの人気を博しています。

画像はインプレスブックス公式HPより

 また、健康管理の手段とし手帳を利用する人も増えています。

「私は体調管理のために手帳を使っています。生活習慣が乱れた時期があり、毎日、心と体の調子を4段階評価で記録するようになりました。手帳に書くことで、自分の体調の変化に気づくことができるんです」(50代男性)

 確かに、スマホではなく紙の手帳に記録することは、自分の変化を視覚的に捉えやすく、過去を振り返る際にも役立ちそうです。

 また、手帳をスクラップブックのように使う人も増えていて、30代のOLの方は次のように話していました。

「手帳にはカフェのレシートや展示会のパンフレットを貼ったりしています。美味しかったものや印象に残ったものを記録すると、振り返ったときにそのときの気持ちまで蘇るんです」

 手帳を使う理由は人それぞれですが、共通しているのは“スマホではできない記録の楽しさ”です。長期にわたって手帳を続けることで、自分の生きた証を残せると考える人も少なくありません。

 また、紙の手帳ならではの質感や、パラパラとページをめくる感覚が心地よいと感じる人も多く、そこにデジタルとは違った魅力があります。

「手帳は個性を表現できるものでもあります。フォーマットを工夫したり、シールやマスキングテープで装飾したりと、“創意工夫の余地”が手帳の人気を支えています」(前出の生活情報サイト編集者) 

 大切な瞬間を刻む手帳は、まさに“生きた証”として未来の自分へと語りかけるもの。デジタルが発展する時代だからこそ、アナログの価値が見直され、多くの人に愛され続けているのかもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。