■瀬以となった小芝風花を襲う悲恋

 X上では、《祭りにダンスバトル、神隠しのエピソードを挟み込むなんて…ほとんどエンタメ映画の脚本じゃないですか》《重三独りの物語から、群像劇を飛び越え、吉原という街そのものを映し出していて、ものすごくライブ感があった。セットも見事だし、心が躍る》などと、脚本と演出に絶賛の声が相次いだ。

 最高に盛り上がった回だったが、抜群の演技でここまで『べらぼう』を引っ張ってきた小芝は、ラストに少し姿を見せただけだった。だが、次回の予告によると、長谷川平蔵(中村隼人/31)が、座頭金の実情を探りだすようだ。史実では、鳥山検校(市原隼人/38)がこの流れで江戸市中から追放となるので、その妻・瀬以(瀬川)を演じる、小芝の出演機会も増えそうだ。

 前回、蔦重との再会後、検校と瀬以との会話シーンで示唆されたように、夫婦間の感情は複雑。幼なじみで結ばれることが許されない、瀬以の蔦重への想いも複雑だったが、検校への感情はさらに複雑。夫婦であり、人間的な尊敬の念や、愛されていることへの感謝がある一方、蔦重への気持ちも残っている。

 しかし、そんな検校を悲劇が襲う。そのとき、瀬以の苦悩を小芝はどんな演技で見せるのか――。かなり難易度は高いが、吉原編で見事に花魁を演じきった小芝は、市中編でさらなる演技の進化を遂げるだろう。今度こそ小芝の見納めになるはずで、注目せずにいられない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。