日々、流行の最前線を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が近年続く食料品価格の高騰に警鐘を鳴らす!
コメやキャベツなど何かと食料価格の高騰が話題になっていますが、今後さらに深刻な事態が訪れるかもしれません。国連のレポートやイギリスのフェアトレード財団の最新報告書によると、気候変動や病害の影響で10年後には庶民が手にできなくなる可能性のある食材がいくつかあるのです。これらの食材は私たちが日常的に口にしているものばかりであり、消滅の危機に瀕している現状を知ることが重要です。
「気候変動による食材の危機は、単なる物価上昇の問題ではありません。生産地の環境変化によって供給自体が減少し、食文化にも大きな影響を与えることが懸念されています」(ライフ誌編集者)
まず挙げられるのは、コーヒーです。世界のコーヒー生産量は約100万トン。その6割を占めるアラビカ種が、地球温暖化によって生産量を大幅に減らすと予測されています。2050年までに現在の生産量の3分の1ほどに減少するとされ、価格の大幅な上昇が見込まれます。すでに日本では、メーカーによる販売価格最大30%の値上げが行われているともいいます。事実、民間の調査会社・帝国データによれば2024年度は2月までに66件ものカフェが倒産しており、これは過去最高のペースでの倒産件数とのことです。
日常食であるバナナも新パナマ病によって絶滅の危機にあります。この病気の原因はカビの一種で、バナナの根から感染し、木を枯死させます。フィリピン政府は新たな品種の開発を進めていますが、実用化の目処は立っていません。5年から10年後には世界の食卓から消える可能性が指摘されています。