■原作に忠実なところが仇に……
また、原作ファンからは《いろいろと設定が変えられているけど、肝となる青木や薪の台詞や所作の部分が原作に忠実だからこそ、こんなに面白くて心揺さぶられるんだろうな〜!》《やっぱり脚本の先生と原作の先生がお話しして作ったところがものすごく大きいと思う。原作と全然違う!ってならないのすごいよ》などと、原作に忠実な描写が絶賛されている。
これほどまでに評価は高いが、配信サービス・TVerのお気に入り登録数が、最高値で39.5万(2月25日当時)という惨敗。物語のクライマックスを前にして登録者が減るという、あまり見ない現象まで起こっている。理由はシンプルに原作と2人のファンしか見ていないから。SNSでの投稿が絶賛しかないのは、それのためだろう。ファン以外の多くの視聴者には、届いていないのだ。
原作をここまで忠実に再現したのはすごいことだ。ただ、それによって、とっつきにくさが増しているのは確か。死体の脳の中をのぞくという基本設定、二重三重に絡んだ犯罪心理、薪と青木のバディとも恋人とも言いがたい微妙な関係。しばらく見続けていれば、なじんでくるのだが、残念ながら視聴者はそこまで我慢強くない。演者と原作のファンに支持された点は成功だが、一般視聴者に届かなかった点では失敗となってしまうだろう。
漫画を原作にしたドラマは、見やすくするため大胆に改変すれば、原作ファンが怒って評判を落とすこともある。かといって、あまりに原作に忠実にしても、その世界観に一般視聴者がついてこられないことも。もちろん、その作品の内容による部分はあるが……。
X上には、《ドラマ版「秘密」の何が凄いかって、映画版で生田斗真&岡田将生という乞うご期待キャストでだだ滑りし、原作ファンを気落ちさせた難しい素材の作品を、まさかの地上波テレビで漫画の完全なる映像化を実現してるとこなんだよな…しかもいろいろあるフジテレビでだよ? 今期一の奇跡のドラマじゃないか?》という声がある。
指摘にもある通り、原作は2016年に薪剛を生田斗真(40)、青木を岡田将生(35)で映画化されたが、《原作のキャラクターの魅力が改変されている》などと、総スカンを食らっている。ドラマ版は半分成功で半分失敗といったところだが、もし、このキャスト、スタッフで映画化されていたら、結果は違っていたかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。