■『俺の話は長い』で清原果耶の良さを再発見
一方で、《テレビドラマとしては珍しいくらい時間をあけての復活特別版で、当時まだ少女だった清原果耶さんの、成長記録としても意味のある企画だなあ》《清原果耶ちゃん…5年半前と比べてビジュアルもお芝居もさらに洗練されて中学生→大学生と進んだ春海の成長とリンクしてる感じがして良き》など、清原の成長も話題に。
清原は前作に出演後、NHK朝ドラの21年前期『おかえりモネ』、TBSの火曜ドラマ『ファイトソング』(TBS系)と、メイン級の俳優に成長した。しかし、演技力の高さには定評があるものの、その後の主演ドラマでは、視聴率の数字には恵まれていない。
霊媒師を名乗る翠眼の女性を演じた、22年10月期の『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)は、全話平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が5.3%と苦戦。さらに、大学時代の友人たちとの日々を振り返る高校教師を演じた、24年10月期『マイダイアリー』(テレビ朝日系)は2.6%ととても厳しいものだった。
そんな清原について、『俺の話は長い』へのX上での投稿に、《清原果耶はこういう役の方が合ってるんだよな。ヒロインさせたいビジュアルとオーラなんだけど、ヒロイン向きのキャラじゃないんだよな》という指摘が。確かに清原を前面に出した『霊媒探偵・城塚翡翠』の空回り感を考えると、自分が引っ張っていくのではなく、本作のように、まわりとのやり取りで話を進めていくほうが光っている。
清原とは映画『ちはやふる』で共演して以来、プライベートでも交流のある上白石萌音(27)は、21年の「マイナビニュース」のインタビューで、『おかえりモネ』での清原の演技について、「受けのお芝居を完璧にやっていて、それってすごい技術ですし、感性です」と絶賛。清原は受けが巧みであり、物語の中心となる、いわゆるヒロインでは、そのよさが発揮できないのかもしれない。
意外にも5年ぶりのドラマで脇役を演じ、その存在感を発揮した清原。4月6日放送の後編も、家の売却問題と満(生田)のニート生活の行方を軸にして、相変わらず、何かありそうでちょっとしたことしか起きない世界が展開されそうだ。地味めな世界でキラリと光る、清原の受けの演技に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。