■バラエティ制作局に出ていた“夜の禁止令”

 そのほかにもガイドラインでは「夜の会合は午後10時まで」「一次会のみ」とし、「過度な飲酒を行わない」という取り決めなど、細部まで厳しく定められている。

 前出の制作会社関係者は話す。

「ガイドラインの時点でかなり厳格化されていますが、これを各局ごとにかみ砕いて決めていくものだったといいます。そして、特にバラエティ制作局はより厳しく、徹底的にやっていると聞こえてきていました。会食や会合の類は、同僚との飲み会でさえ原則として全面禁止だといいますよ。

 後に第三者委員会に“(ハラスメントが)顕著であった”と名指しされるような状況にあっただけに、そうしたあまりも厳しい措置が取られたんでしょうね」

 今回の“中居・フジテレビ問題”では、バラエティ畑の社員の関与が強く言われた。

 まず、ホテルのスイートルームで飲み会を開き、トラブル後は中居氏の意向を受けて被害女性Aに見舞金を渡そうとした元編成幹部社員B。3月31日の会見でも清水賢治社長に「非常に問題が多かった」と言われたが、Bは中居氏の冠番組『だれかtoなかい』など、人気バラエティ番組を多数手がけてきた人物だとされる。

 そして、Bと関係が深く、被害女性Aからの被害を当時「プライベートな男女間のトラブル」と判断した港浩一フジテレビ前社長(72)は、80~90年代に『オールナイトフジ』や『とんねるずのみなさんのおかげです』など、いくつものヒットバラエティ番組を生み出した名物プロデューサーだ。

 そして、前述のように第三者委員会の報告では、過去にフジテレビではセクハラ行為を伴う飲み会が存在していたことを認め、「これらの傾向はバラエティ制作局において顕著であった」と断じていたのだ。

「第三者委員会の調査は1月末から始まったわけですが、同時にフジ内部でも社内調査は行なわれていたと言われています。そこで浮上してきたのが、バラエティ制作局の危うい会食・会合の実態だったと見られます。そこで、第三者委員会の調査報告に先んじてガイドラインができ、さらに同局での会食・会合の禁止を打ち出したものと見られますね」(前出の制作会社関係者)

 小サイトはフジテレビに、バラエティ制作局と他局では会食・会合の開催において明確に差があるのかを問い合わせたところ、

「社内の取り組みの詳細に関しては、回答を控えさせていただきます。

 当社は2月27日、『会食・会合』に関して、『参加者の人権(差別、暴力およびハラスメントを受けない権利を含む)の尊重を最優先とし、それが確保できなかった場合には、厳正に対処してまいります』等とするガイドラインを策定した旨を公表いたしました。現在社内で周知徹底しております」

 と、バラエティ制作局と他局での、会食・会合の開催の差を否定することはなかった。

 第三者委員会の調査報告を受けて再度、解体的出直しが叫ばれているフジテレビ。同社の中でも“トラブルの温床”となっていたと言えそうなバラエティ制作局は、大きな変化が求められるだろう。