■老人は寝たきり、ペットに至っては……

また、WHOの調査によれば、日本は「寝たきりの高齢者数」が世界1位です。平均寿命が長いことで知られる日本ですが、健康寿命との差が大きく、長寿でありながら寝たきりの時間も世界で最も長い国となっています。医療技術の進歩により命は延びていますが、その質を向上させることが求められています。
環境省「動物愛護管理行政事務提要」では、「ペットの殺処分数」も世界でトップ。イギリスでは年間数千匹が殺処分されるのに対し、日本では数万から数十万匹が命を奪われています。この背景には、安易なペットの購入や無責任な飼育、避妊去勢手術の未実施などが関係しています。近年、殺処分数は減少傾向にありますが、世界基準と比較するとまだまだ多いのが現状です。
最後は「家事をしない夫の割合」です。国際社会調査プログラム(ISSP)が実施した「家族と性役割に関する意識調査」によれば、ヨーロッパでは約30〜40%の夫が家事をしているのに対し、日本ではわずか18%。これは、単に男性の意識が低いだけではなく、日本の長時間労働文化が影響しているとも言われています。働き方改革が進んでいるものの、家事や育児に対する夫の参加はまだまだ不十分です。
「日本は経済的な豊かさと引き換えに、多くの社会問題を抱えています。長時間労働、少子高齢化、環境問題など、これらの課題に真正面から向き合うことが求められています。
特に、家庭における男女の役割や働き方の見直しは急務。社会全体が変わるには時間がかかるかもしれませんが、一人ひとりが意識を変えることが、日本の未来をより良いものにする第一歩となるでしょう」(ライフ誌編集者)
日本は経済的には豊かでありながら、環境や福祉、社会構造の面で多くの課題を抱えています。生活の質を向上させるためには、政策の見直しだけでなく、個々の意識改革も必要不可欠となるでしょう。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。