■今田美桜の力量が試される

 メイン級をずらりとそろえた共演陣の豪華さに驚いた初週。第3回で登美子(松嶋)が崇を置き去りにして再婚し、第4回で結太郎(加瀬)が急逝するという、急展開で親子の別れが描かれたが、ストレスなく見られたのは子役たちのがんばりと、それを支える大人俳優たちの演技力の高さのたまものだろう。

 今週で印象的だったのは、嵩の母が出て行ったことを知ったのぶの、「嵩はうちが守っちゃる!」というセリフだ。史実でも、やなせ氏は仕事以外はすべて暢さんを頼っていて、夫を支えるというより引っ張っていたようだ。このことからも、本作は今まで以上に、ヒロインが物語を引っ張っていく展開になるはずだ。夫婦ものではあるが、実質的にのぶがメイン。今田の頑張りがドラマの出来を左右することになりそうだ。

 豪華共演陣をまとめ、物語を引っ張るのは、座長である今田美桜にはかなりのプレッシャーだろう。だが、それは制作側がそれだけ今田に期待しているともいえる。5度目の朝ドラのオーディションでヒロインを射止め、今田は相応の覚悟で臨んでいるはず。本格登場は第3週からだが、どんなヒロイン像を見せてくれるか、期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。