■『エルピス』とは別物か
この経緯も有名なだけに、TBSの『キャスター』と比べてしまう視聴者は多いだろう。また『エルピス』でニューススタジオのセットを破壊し、真実を報道しようとしない番組に怒りをぶちまけるなど、物語に大きく絡むプロデューサー・村井を演じた岡部たかし(52)が『キャスター』では報道局長役で出ているのも気になるところだ。
『キャスター』の内容を見ると、周囲の人間を巻き込んで巨悪に挑んでいくという、最近では珍しいぐらいの日曜劇場のお仕事ドラマ。「彼らが本当の意味での理想を叶えたとき、闇に葬られていたある事件の真相が明らかになる!?」と煽っているが、実在の冤罪事件をベースにしていた『エルピス』と比べると、スリリングさでは劣ってしまいそうな気もする。
とはいえ、そこは日曜劇場。既視感の強い作品になりそうだが、高橋英樹(81)や宮澤エマ(36)、前述の岡部たかしなどの手練れのメンツが、永野芽郁、道枝駿佑というフレッシュなキャストをうまくフォローし、エンタメとして十分な作品にしてくれるはず。『エルピス』のことはいったん忘れ、日曜劇場ならではの社会派エンタメを楽しみたい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。