■広瀬アリスのコメディセンスに期待

 その点、『なんで私が神説教』は、初回からクラス内の一軍や二軍という、スクールカーストをとりあげるようだが、正直、手垢のついたエピソードだと言わざるをえない。それでも、広瀬のコメディパワーで、マンネリという負のイメージを乗り切れるかもしれないがーー。

 もうひとつ気になるのが、脚本を担当するオークラ氏のことだ。バナナマンおぎやはぎなどの芸人のライブや、バラエティ番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの構成作家出身で、テンポのいいセリフ展開は定評があるが、入り組んだストーリーには、ちょっと難があるように思われる。

 24年4月期のミステリーコメディ『イップス』(フジテレビ系)や、同年1月期の医療サスペンス『となりのナースエイド』(日本テレビ系)も、謎解きや具体的な医療が入ってくると、いきなりB級感が漂い始めていた。本作も導入部分はよくても、話がすすんでくると、物足りなさを感じてくるかもしれない。

 だが、学園ドラマは生徒役の若手俳優たちのがんばりで、視聴率の数字がはねる場合がある。24年7月期『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)の新井美羽(18)、23年7月期『ばらかもん』(日本テレビ系)の豊嶋花(18)など、すでに出演ドラマで実力を発揮している俳優もおり、彼らと広瀬の活躍に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。