■公開セクハラにハリウッド俳優ドン引き&炎上した過去も

 1980年代から90年代にかけてフジテレビの黄金期を支えた石橋は、報告書にある“10年以上前”にはすでに大御所タレントだった。制作会社関係者は、「とんねるずはとんでもない高視聴率を叩き出してきていたため、スタッフも彼らには何も言えない雰囲気があった」と振り返る。

「特にとんねるずが自ら企画し、高視聴率をマークし続けた番組が『とんねるずのみなさんのおかげです』(88年10月~97年3月)ですが、石橋さんが番組内のコントなどで共演する女優に過激なセクハラをすることが“お決まり”で、番組名物でもありました。

 たとえば赤ちゃんに扮した松田聖子さん(63)や観月ありささん(48)が口にくわえていたおしゃぶりを舐め回す、宮沢りえさん(51)の前でズボンを下ろす、グラドルとして絶大な人気を誇った細川ふみえさん(53)の胸に顔をうずめるなどなど。当時はその奔放さが人気を集めたのは事実です」(前出の制作会社関係者)

 時代と言ってしまえばそれまでだが、とはいえ時代と視聴者は移り変わる。同番組はその後『とんねるずのみなさんのおかげでした』(97年6月~2018年3月)としてリニューアルされるが、多くの視聴者がドン引きしたのは、15年10月15日放送の“西内まりやセクハラ事件”だ。

 番組内コーナー『食わず嫌い王』のゲストに迎え入れたのは、ハリウッド俳優のヒュー・ジャックマン(56)と西内まりや(31)。ヒューと対面した西内が、ドギマギする様子で“今、私すごいことになってます”と興奮を表現すると、西内の隣に座っていた石橋が、“バクバクしてる?”と、西内の胸に手をあてようとしたのだ。西内はとっさに両手でガードしたが、石橋の言動を目の当たりにしたヒューはびっくり。「ワオ…すごいな。僕がそれをやったら問題だ」と引きつった表情を見せた。

 さらにその後、ヒューが役作りで体を引き締めておかないといけないという話の流れで、西内が「私も今ちょっとジムに通ってるんです」と言うと、石橋は「どれどれ?」と懲りずに西内の胸を触ろうとし、今度はノーガードだった西内は身をよじりながら「助けてください!」と悲鳴。ヒューは「そんなことしちゃダメだよ」と石橋をたしなめ、自分の胸筋を動かしてみせることで、その場の“セクハラ”な空気を一掃したのだった。

 また、このとき胸に手を持っていく石橋の手の動きに合わせて、コミカルな効果音もつけられていた。もし今やれば一発で大炎上しそうな時代錯誤な演出であるが、15年といえば、すでにSNSも普及していた時代。当時のツイッター(現X)には、“ヒューがドン引きしている”という投稿があふれており、“炎上状態”だったことが現在も確認できる。

《こんなんだからTV衰退するんだろ?》
《こういうのあるから見なくなった》
《チャンネル変えます。さよならフジTV》
《石橋貴明のセクハラが不快です。なんで放送する? それを許しているフジテレビの倫理観を疑う。ゲストのヒュー・ジャックマンさんにも視聴者にも、そして一番西内まりやさんに失礼です》

 といった投稿が寄せられていた。

 その『とんねるずのみなさんのおかげでした』の最終回で、とんねるずの2人は自身のヒット曲『情けねぇ』を熱唱し、替え歌を披露していた。

「バラエティを滅ぼすなよ」
「フジテレビをおちょくるなよ」

 有終の美を飾った同番組の最終回を、冷めた目で見ていた女性たちもいたかもしれない。