日々、流行の最前線を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏も注目する日本の名店7選を紹介!

「老舗」――この言葉には、時を超えて人々に愛されてきた不変の価値が宿っています。現代の飲食店がしのぎを削る中、今なお健在で、しかも創業から数十年、時には数百年を経て続いているお店が存在します。

 たとえば、横浜を代表する駅弁といえば外せないのは「崎陽軒」。シウマイ弁当で有名なこの会社は、1908年に創業し、横浜駅構内の売店からスタートしました。現在も1日2万4000個以上の販売を誇り、コロナ前の水準に回復しています。

 その人気の秘密は、なんといっても“変わらない味”。実は1989年に一度だけ「鶏の唐揚げ」を「エビフライ」に変えたことがありました。結果は大失敗。ファンからの苦情が殺到し、わずか3年で唐揚げに戻したという逸話があります。他にもレンコンの煮物を外した際には、これまで誰も褒めてくれなかったにもかかわらず、「なぜ外した」との声が多数寄せられたそうです。

「食において“変わらないこと”は、実は最も難しい選択です。流行やコストの変動、時代の嗜好の移り変わりに抗いながら、一貫した味や品質を守るには、並々ならぬ信念と技術が必要です。崎陽軒のシウマイ弁当はまさにその象徴。ほんのちょっとした具材の変更でも、多くのファンから反響があるほどの愛されっぷり。“変えないこと”がブランドになっている代表例でしょう。変わらないために、毎日同じことを積み重ねる――この姿勢が老舗の真髄なのです」(グルメサイト編集者)