■泥棒が2度入った 出くわしていれば命の危険も…

 しかし、大金を相続した後は良いことばかりではなかったという。

「今も、毎日のように知らない人から頻繁に、“お金をください”ってメッセージが来たりしますね。この前なんて、“裕福な人は貧乏人を助けるべきです。あなただって、遺産を相続しなければ貧乏でしたよね? 今日中に私の口座に1000万円振り込んで下さい”って、しつこいメッセージがきていました。

 相続した当初は車のミラーを折られたり、養母の本宅には2度泥棒が入り、数百万以上の被害を受けました。警察の話では、海外の窃盗団可能性が高く、足跡から2人組の犯行でもし出くわしていたら命も危なかったかもしれないと言われ、その時はゾッとしましたね」

前田けゑさん ※提供画像

 さらに、大金を相続したことがニュースになると、別のトラブルに巻き込まれてしまったこともあったという。

「実は、飲食店を潰してしまったこともあるんです。信用していた従業員が売り上げ金を横領していて……。裁判にも勝ちましたが、支払いもされず逃げられてしまいました。“絶対に信用してほしい”と融資のお願いをしてきた後輩にも結局返済なく逃げられたり……数千万円の失敗ですが、これも勉強。経験値として次に進んでいます」

 現在は、世間でお金持ちだと見られることも多いという前田さんだが、実は意外な過去もあるという。

「幼少期、僕は裕福ではありませんでした。僕の両親は離婚していまして、4人兄弟で母親と狭い団地に暮らしていました。中学の頃にグレて不良になり、ヤンキー雑誌に掲載されたり、鉄パイプを持った先輩にボコボコに殴られたこともありましたね」

 そんなヤンチャな過去もある前田さんは現在、芸人としての活動のほか、多数の事業を手掛ける経営者としての顔も持つ。

「ありがたいことに、不動産業としては東京で6棟目になる不動産が完成しました。13年目になる飲食店や共同経営している店舗も、山あり谷ありでしたが現在は順調です。ドラマのプロデューサー業もしていまして、ショートドラマ『プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち』は大ヒットしました。TikTokでは、動画投稿を4年間続けた結果、フォロワー数が45万人に増えましたね」

 さまざまな事業で成功している前田さんは現在、43歳。プライベートではさぞかしモテモテなのではと思いきや……。

「それが、もう1年以上彼女がいないんですよ。普通に恋愛して結婚、という流れが理想ではありますが、年齢と相続した資産から現在の事業や資産をつないでいかないといけないと思うと、つい相手に求めることが細かくなってしまっているのかもしれません。

 長くお付き合いをしても、ずっと大好きで一緒に支え合えるパートナーを見つけ、結婚し子どもも作り、資産を後継者につないでいきたいですね」

 最後に、前田さんにとって“お金”とは何かを聞いた。

「良い意味でも悪い意味でも、強力すぎる何かです。だけど結局は、誰と出会うかが重要だと思っているので、これからも出会う人を大切にしていきたいと思っています」