■渡辺翔太・野呂佳代がカギか
人と接することが苦手で自分の考えを表に出せない静(広瀬)が、負けず嫌いな性格だとはいえ、神説教できてしまうなど展開に強引なところもあった。ただ、これはエンタメ作品なのだから、そこはツッコむべきではないだろう。テンポは良いし、広瀬の陰キャからのキレっぷりもエモく、今後に期待できそうだ。
ただ、気になるのが、「生徒がトラブル→嫌々ながら巻き込まれる→キレて論破」という、今後も使われるであろう展開パターンだ。ストーリー自体は、生徒の背景をあまり描かず、深堀りしたものではなさそうなので、展開がワンパターンになってしまうと、飽きる視聴者が出できそうだ。
そこでカギになるのが、同僚の教師を演じる共演陣だ。いまや名バイプレイヤーの野呂佳代(41)や小手伸也(51)、伊藤淳史(41)など、クセの強いキャストが揃っている。生徒たちの問題に、彼ら教師陣も巻き込んで展開させれば、ストーリーにバリエーションが出て、ドラマの見ごたえもぐっと上がるだろう。
教師役の中では、Snow Man・渡辺翔太(32)の演技が不安だったが、妙にポジティブな天然キャラはハマっていて、こちらも期待できる。また、生徒役キャストの活躍もカギになるだろうが、今回のメインになった清乃あさ姫と豊嶋花のほかにも、存在感を発揮する若手が出てくることに期待したい。
また、野呂は昨年の『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)に『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)、今年1月期の『ホットスポット』(日本テレビ系)など、話題作には必ず出演していて、「野呂佳代の出るドラマにはずれなし」と言われている。本作でもその伝説が続くのかにも注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。