■専門家も推奨! 熊に襲われたその時に取るべき行動とは

 一連のクマの行動を専門家はどう見るのか。ワイドショー『サンデージャポン』(TBS系)やバラエティ番組『世界まる見え!テレビ特捜部』(日本テレビ系)などのテレビ番組にも出演、動物研究家として活動するULTIMATE ANIMAL CITY代表のパンク町田氏に話を聞いた。

「人里へと出現するクマは普段は民家近くの森やヤブの中で暮らしていたのだと思います。近くの住宅街も生活圏ではあったのでしょう。今の季節、クマは冬眠明けでお腹が空いている。そこで生活圏を広げた結果、人間の暮らす場所と熊の行動範囲が重なったということでしょう」(パンク氏=以下同)

 冬眠明けのクマはどういった食料を求めて人里へと現れるのか。

「動物性のタンパク質や糖質の高い食材を求めています。代表例は家畜です。他にも残飯の中のスナック菓子をクマが漁っている様子が目撃されることもあります」

 クマに街中で遭遇した時、どのような行動を取るべきなのか。

「長野県でのケースのように、住宅にクマが入ってきたとなったら速やかにその部屋を離れてください。クマが室内にいるのに大声を出したりしたら逆効果です」

 絶対に避けた方が良い行動はなんなのか。

「クマが目の前にいるとなったら下手に動かない方が良いです。クマは動くものには襲いかかってきます。特に背中を見せると危険です。万が一襲われた場合は……。これはもう、闘うしかありません。統計的にも反撃に出た方が生存率は高まります」

 一方、クマとの間に50メートルほどの距離があるのであれば走って逃げるのが有効だという。

「クマは最高速度50キロ。しかし、持久力には欠けるので200メートルほどしか走れない。直面したとしても、クマとの距離次第では逃げ切ることも可能です」

 これから迎える行楽シーズン。熊が出没しかねない山間部でのハイキングにはくれぐれもご用心!

パンク町田(ぱんくまちだ)
1968年、東京都生まれ。NPO法人生物行動進化研究センター理事長、動物研究家。近著に『パンク動物記 アフリカの最強動物』(ポプラ社)、『パンク町田の動物たちの嘘のような本当の話』(三笠書房)等がある。