■雑誌に文房具……子供に人気のあの商品も100周年!
「読めばみんな優等生に」がキャッチコピーの学習雑誌『小学一年生』(小学館)も創刊100周年。学習ドリル、読み物、生活マナーなどを盛り込んだ構成で、創刊当初から子どもたちの成長を支えてきました。
特に注目されるのは付録の存在です。1991年には「入学おめでとうレコードセット」、2006年には「ピカチュウ☆マナフィの けいたい糸でんわ」、2021年には太陽のパワーで絵がプリントできる「おひさまチェキカメラ」、2023年にはセブンイレブンのレジを模した付録「おしゃべり♪ ハイテクおかいものレジ」など、時代のトレンドを取り入れた内容が揃っています。
「子どもが楽しむだけでなく、親も一緒に夢中になる付録が増えた」「昔を思い出して親子で盛り上がれる雑誌は他にない」「今や雑誌というより、親子で楽しむ体験キット」といった反応があり、まさに“世代を超える存在”になっています。
一方、芸術教育の世界で根強い人気を誇るのが「クレパス」。1925年に登場したこの画材は、クレヨンの“クレ”とパステルの“パス”を掛け合わせて作られ、子どもたちが自由にのびのびと描ける画材として、小学校や幼稚園の教材として定番に。
「シャチハタ」も今年100周年を迎えました。1970年の大阪万博に出展され、朱肉なしで押せる簡便さが一気に認知されました。現在では、布や木にも押せる「お名前スタンプ」や、手にスタンプを押して“落ちるまで洗う”ことで衛生教育に活用される商品も登場。デジタル化の波の中でも、日常生活に必要とされるツールとして進化を続けています。形を変えながら100年、文具として確かな存在感を保っています。
最後は静岡県の「大井川鐵道」。SL(蒸気機関車)を通年運行している全国的にも珍しい鉄道会社として知られています。100周年を記念して、「純金製100万円きっぷ」や記念コイン、腕時計など、ユニークな記念グッズが販売されました。
「記念きっぷやSLの復活運行、沿線住民とのコラボレーション企画など、100年という歴史を単なる“数字”ではなく、地域と共有する“物語”に変えている点が素晴らしい。
特に、純金きっぷというアイデアには鉄道ファンの夢とロマンが詰まっていて、観光列車に乗って沿線の風景を眺めた時には土地の歴史が胸に迫るような体験になりました。鉄道は単なる交通手段ではなく、時間と記憶を運ぶ乗り物なのだと、改めて思いました」(鉄道ファン)
それぞれの100周年には、変わらぬ価値を守りながら、必要に応じて変化する知恵と勇気が詰まっています。それは時代に合わせて姿を変えながら、人々の生活に寄り添い続けてきた証でもあります。これからの100年も、きっとこれらの定番たちは、次の世代の記憶に静かに息づいていくことでしょう。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。