日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、注目したのは、官僚のなり手不足問題について。
国家公務員を目指す若者が減少している――そんな衝撃的なニュースがこの春、各メディアを賑わせました。とりわけ、かつては“エリート中のエリート”とされてきた霞が関のキャリア官僚に関しては、応募者がこの10年で3割も減り、10年未満で退職する若手官僚は3倍に急増するという深刻な“人材流出”が進んでいるといいます。
かつては「東大から官僚へ」というルートがエリートコースとされていたものの、今やその進路を選ぶ学生はまれとなり、むしろ敬遠されるキャリアとなってしまっているのです。
「今の若者世代は努力がすぐに評価される世界を求めており、民間企業やベンチャー、さらには海外進出など自己実現への道を重視する傾向が加速。政治家からの無理な要求に耐える環境などがブラックな職場という印象を固定化。激務で雑務も多く、ハードな労働環境に見合った給与とも思えない。意思決定に関われるのは10年目以降になるのであれば、“そこまでの時間がもったいない”というわけです」(全国紙政治部記者)