■「手術をできただけラッキー」
――当初は「初期の食道がんが発見された」という発表でしたが、大手術なんですね。
「初期、深くないがんは内視鏡で削れますし、数日の入院で済みますが、今回は違いますよね。食道離断術で、胃を吊り上げる手術を行ないますから、それに時間がかかるんですよね。
推察するに、咽頭に広がっているから広く切り取ったんだと思います。基本的には切除面積が広ければ広いほど手間取るし、合併症が起こりやすいですね。
そのため、基本的に食道離断術を行なう場合は集中治療室に必ず入ります。何が起こるか分からないくらいの大手術ですからね」
――咽頭がん併発について教えてください。
「つながっている場所ですから、食道上部から咽頭にかけての広いがんの可能性が高いと思います。おそらく転移というより、広がった段階で見つかって、ガバッと広く切除した可能性はありますね。手間暇かかる手術です。正式なことは分かりませんが、転移ではないと思います。
“初期の食道がんが発見された”という発表は、そういうことにして発表したんじゃないかな、と……。あくまでも自分の経験ですが、食道から咽頭に転移した人は見たことないし、最初から広がっていたとすれば初期がんではない可能性はあります。
でも、もし本当に広がって遠くの臓器に転移していたら、そもそも手術ができないから手術をできただけラッキーだと思います。
“遠隔転移”という言葉がありますが、食道がんはすぐそばの肺に転移することがあるんです。そういう場合は手術せずに最初から抗がん剤や放射線治療をする場合があるため、手術できた時点でまだ広がってなかったんでしょうね。治る見込みは十分にあると思います。
いずれにせよ、僕が食道がんになったら“避けたい”と思うくらいの大手術です。今は医療技術が進歩していて胸腔鏡とかでも手術できますが、それでもかなり切除しますからね。きっと石橋さんも医師から話とかを聞いて、根治の一番の近道だと手術を受けたはずですし、悪いところは取れたはずです」