■デヴィ夫人が重宝され続けてきた「テレビ局のズルい事情」
インドネシア・スカルノ元大統領の第3夫人で、現在は政治活動も行なっているデヴィ夫人。気品のある語り口でズケズケと私見を述べるキャラクターで存在感を示してきた。一方でバラエティ番組では、優雅なセレブ生活を送るデヴィ夫人が、芸人顔負けで体を張るといった“ギャップ”を見せる企画が人気を博した。
今回の件にデヴィ夫人は容疑を否認しているとはいえ、書類送検されたことは事実。この報道を受け、Xには、
《デヴィ夫人がテレビで長い間ちやほやされてるのがずっと理解できなかった》
《何でこんな暴行を繰り返す人をTVに出し続けるのか》
《何故しばしば警察沙汰事件を起こすデヴィ夫人をテレビは出演させるんだろうなぁ~》
など、なぜテレビ局はかねてからたびたびトラブルを報じられてきたデヴィ夫人を起用し続けるのか? という疑問を抱く声が止まらない。この率直な視聴者の問いについて、元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、「デヴィ夫人の特殊な属性」を指摘する。
「元大統領の第3夫人でセレブ生活という、そもそも日本人の視聴者にとっては不思議な存在。日本人の一般的な“常識”と彼女の“常識”は違うのでは……という前提を持って見てもらえるので、テレビ的に刺激的な演出がしやすい人ではあったのでしょう」(鎮目氏=以下同)
また、同じ「毒舌」でも、芸能人の「毒舌」と、デヴィ夫人のような"文化人枠”での「毒舌」とは局としての扱いが異なるという。
「毒舌を売りにする芸能人は仕事として毒舌キャラを作っているケースもよくあり、芸能人の発言は局に編集権があります。その意味で、芸能人の発言が炎上した場合、局の責任が問われる可能性も高くなります。
対して文化人の場合、言論自体に価値があるという扱いなので、局としては原則、その人の発言を立てなくてはいけません。仮にその人の発言が元で炎上したとしても、テレビ局としては責任をその人に預け、“あの人の意見ですから”として“逃げ”られるわけです。もちろん芸能人でも“文化人”でも、倫理的・法律的にアウトな不祥事を起こしたらテレビ局としては出演を取りやめますが、そうでない限り、編集権を発動させるかどうかには芸能人と文化人で大きな差があるのです」
振り返れば、「ハマコー」こと浜田幸一元衆議院議員や、最近ではNHKから国民を守る党の立花孝志氏など、文化人枠の暴れん坊はいつの時代にもいる。さらに“女性の毒舌家”は「テレビ的に」重宝されてきた。鎮目氏が続ける。
「ズケズケとものを言う中高年の女性って、数字を持っているんですよね。テレビ番組としては“危険球”を投げたほうが賛否を呼び、番組が盛り上がる。この手の枠には歴史的には細木数子さんや野村沙知代さん、田嶋陽子さんといった方々が挙げられ、やはり共通しているのは“文化人”という位置づけであることです」(前同)