■のんのゲスト出演は話題だが…
最初から名和のトレーナー・今井(味方良介/32)が怪しいのはバレバレのうえ、2人の関係をドラマのメインに持ってくるかと思えば、それもほぼなし。なんとなく事件が解決した感じで終わってしまった。今井がスポーツギャンブルのブックメーカーだったというオチだが、トレーナーとして働いているのに、そんな時間の余裕はあるのか疑問で、作りが雑と言わざるをえない。
ドラマ全体になんとなく歯切れが悪いのは、テーマとの相性にありそうだ。Xでも指摘されていたが、そもそも報道は、物事に白黒をつけず、公平に扱わなければならない。報道を舞台にしたドラマでもそれは同じであり、日曜劇場のように勧善懲悪をベースにした作品では、どうしても盛り上がりを欠いてしまう。そもそも相性が悪いのだ
勧善懲悪の部分では、初回から登場している内閣官房長官・羽生(北大路欣也/82)など、日曜劇場らしい悪い政治家が登場しているが、今のところ進藤(阿部)との対決には展開せず、ちょい見せしている程度。これらが本筋として動き出すのが中盤を過ぎてからだろうし、しばらくは視聴者をモヤモヤさせるストーリーが続きそうだ。
そんなモヤッとしたドラマに話題を持たせるためだろう、第3話には万能細胞を発見する“リケジョ”の研究員役で、のん(31)がゲスト登場する。2014年以来11年ぶりとなる、のんの民放キー局ドラマ復帰が話題になっており、一時的に数字は持ち直すだろうが、それが精一杯だろう。第4話以降は、さらなる視聴率ダウンが予想される。
進藤の父・松原哲(山口馬木也/52)の自死に、航空自衛隊の輸送機の墜落事故の報道が関係していることが、ドラマの中で何度か匂わされており、進藤の真の狙いは父のための復讐のようだ。そうならば、いっそ報道における正義は脇において、シンプルな復讐劇にしたほうが日曜劇場らしくて、視聴者を引き付けられるかもしれない。数字を伸ばすには、ダイナミックさがカギになるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。