■消費者一人が毎日おにぎり1個分を捨てていた!

 ガイドライン改定の背景には、日本国内で年間約522万トン、経済損失4兆円という食品ロスの現実があります。消費者一人が毎日おにぎり1個分を捨てている計算となり、行動の見直しが求められていました。

「こうした中、食品ロスに意識の高い企業も増えおり、たとえば、ファミリーマートではおにぎりの消費期限延長や、期限が近い商品に“涙目シール”を貼る割引販売を導入。

 また、有料会員サイトの“トクポチ”は月額130円から利用が可能。期限間近の商品を安く手に入れられるオンラインサービスを展開しており、40%オフ以上は当たり前で、中には0円の商品も。食品ロスを防ぎながらお得に買い物ができる点で、多くの消費者の支持を集めています」(生活情報サイト編集者)

 こうした賞味期限の見直しの動きは以前からあり、弊害となってきたのが「3分の1ルール」でした。これは賞味期限の3分の1以内に小売店に納品しなければ販売できないという日本特有の商慣習で、流通の遅れが廃棄につながるリスクが指摘されてきました。

「たとえば賞味期限が6か月の商品ならば、製造から2か月以内に店頭に並ばないと販売できないという制約があり、わずかな流通の遅れが大量廃棄につながるという問題がある。しかし、近年は物流インフラや保存技術の進化により、このルール自体の意義が問い直され、2019年以降、農林水産省の呼びかけに応じて、一部の流通業者やメーカーでは“2分の1ルール”に移行するなどの対応が始まり、一定の効果が出てきています」(前同)

 賞味期限や消費期限を正しく理解し、必要以上に廃棄しない。そうした意識の変化こそが、サステナブルな食の未来をつくる第一歩になるはずです。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。