■『続・続・最後から二番目の恋』との落差

 初回だけに説明シーンが長かったが、演者、特に北川が娘を失った母親の感情の振り幅をうまく演じていて、まったくダレることはなかった。元社長の父親を演じる大森も訳ありげで良かったし、梨々子の家庭教師の大学生・玖村を演じる、Snow Man阿部亮平(31)のヘタレ感もうまくハマっていた。

 意外なのはサスペンスっぽく見せながら、かなり親子ドラマ寄りだったこと。プライベートでも2児の母親である北川の演技もあり、子を持つ親にはかなり刺さったようだ。今期の家族、親子を描いたドラマは『対岸の家事』(TBS系)があり、そちらも好調。ドラマ視聴者のメインである、30~40代女性を意識した作品は強い。

 また、同局で直前に放送された月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』との、ドラマの世界観の落差も良い作用になっている。人生の終盤を迎えようとしている主人公たちの、いろいろあるけどホンワカした日常ドラマのあとなので、本作のヒリヒリした内容は緩急がついていい刺激になるはずだ。

 視聴率は上々で、TVerの“いいね”数も1.4万で、『続・続・最後から二番目』に並んだ(24日午後1時現在)。同枠前作の板垣李光人(23)と中島裕翔(31)のダブル主演『秘密〜THE TOP SECRET〜』は、物足りない数字に終わったが、北川が熱演を見せる『あなたを奪ったその日から』は期待できそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。