■不利が重なった『ダメマネ!』だが
とにかく、吃音という難役に取り組んだ富田の演技が圧巻で、第2話にして本作のテーマは“人生の再生”なのだと、はっきりと印象付けた。それに対峙した川栄の演技も、セリフや所作がキレキレでエネルギッシュ。俳優としての自己ベストを更新するような演技で、物語をグイグイと引っ張っていた。
また、共演陣との息がピッタリで、登場人物が多いにもかかわらず、ガチャガチャさせることなく、うまい具合に“にぎやかし感”を出している。出色なのが、芸能1部のスーパースター・真田祐士役のHEY!SAY!JUNPの山田涼介(31)で、イケメンなのに不憫なイジられキャラがハマっており、川栄との掛け合いも絶妙。制作側が山田の使い方を心得ているようだ。
これら演者が束になったときのグルーヴ感、感動の深さがすごい。平均世帯視聴率が初回で4.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と伸び悩んでいるが、放送時間が日曜日の午後10時30分、まして今回は大型連休中となれば仕方ない。また、イメージがコメディよりなので、ここまで感動的な内容だと思われていないのだろう。
一方で、配信サービス・TVerでは、お気に入り登録数が初回の放送開始直後から急激に伸びていて、第2話の放送後には40万超えを達成(4月30日午前11時現在)。この勢いを考えると、伸び悩んでいる今期ドラマの3番手グループ、『人事の人見』(フジテレビ系)や『恋は闇』(日本テレビ系)に追いつく可能性は高い。
次回は、所属タレントの移籍問題がテーマで、美和(川栄)と真田(山田)の距離が急接近するようだ。『ダメマネ!』は今期一番の“見ないともったいない”ドラマなので、ぜひ多くの人に見てほしい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。