■固定ファン以外にもアピール力がある『続・続・最後から二番目の恋』

 万里子(内田)の自由への葛藤、真平(坂口)を気遣うえりな(白本)の成長、典子(飯島)の熟女グラビアへの挑戦など、人々が動き出した回だった。前回までは状況説明のためもあって、どうしても内輪でガヤガヤやっている印象が強かったが、このタイミングで家族の輪の外へと物語が広がりを見せる構成は、さすがの岡田惠和脚本といったところ。

 さらに、成瀬(三浦)と律子(石田)という波乱を予感させる新キャラの登場も、物語に新たな風を吹き込んでいる。本作が従来のファンである、50代の視聴者を楽しませるドラマだけではないのは、利用者の年齢層の幅が広い配信サービス・TVerのお気に入り登録数が112.4万(5月1日午後3時現在)と、今期ドラマのトップという数字にもあらわれている。

 演技面でしっかり計算できるベテラン俳優の起用、ボリュームゾーンである50代視聴者に刺さる内容をベースにしつつ内輪受けで終わらない展開を盛り込む。このフォーマットは確実に数字が読め、固定客以外の波及効果も持つ、新たな金脈といえる。『続・続・最後から二番目の恋』の成功を受け、今後、フジドラマのドラマで、このパターンが増える可能性もあるだろう。

 本作は、2012年の第1期とスペシャル版、14年の第2期に続く第3期目だが、さらに4期目というのも十分にありえる。第4話では、千明(小泉)と成瀬の距離が縮まり、和平(中井)は鎌倉市長・伊佐山(柴田理恵/66)から、唐突に市長選立候補への打診を受けて動揺するようだ。今後の展開に注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。