今年は戦後80年ということもあり、あらためて戦争や平和を見つめ直そうという動きが増えている。テレビ誌編集者は言う。
「現在放送中の連続ドラマでは、今田美桜さん(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『あんぱん』と、芳根京子さん(28)主演のフジテレビ木曜劇場『波うららかに、めおと日和』(夜10時~)の2作が特に人気を博しています。この2作品に共通点、そして今後描かれるであろう“戦争”への流れが、特に注目を集めているんです」
『あんぱん』は、国民的キャラクター『アンパンマン』を生んだ漫画家・やなせたかしさんと妻の小松暢(こまつ・のぶ)さん夫妻をモチーフにした作品。今田が暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを、北村匠海(27)がやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じる。
一方の『波うららかに、めおと日和』は、講談社のマンガアプリ『コミックDAYS』で連載中の西香はち氏の同名マンガが原作。昭和11年を舞台に、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描くハートフル・昭和新婚ラブコメディー作品だ。
同作では、芳根が男性経験ゼロの主人公・江端なつ美、本田響矢(25)がその夫で硬派な帝国軍人の夫・瀧昌を演じる。
「『あんぱん』はすでに昭和12年3月を迎えていますが、『めおと日和』の第2話が放送された5月2日放送回では昭和11年8月が舞台で、しかも両作品ともベルリンオリンピックの話題も出ていたために、“シンクロしてる!”と視聴者が沸騰したんですよね。
そして、特に『あんぱん』では描かれることが確実ですが、劇中の時代ではもうすぐ戦争が待ち受けていますから、それに戦々恐々としている視聴者も多いんです」(前同)
『あんぱん』は第6週(5月5日~9日)から日中戦争に突入することが明らかになっている。これまで、のぶの妹・蘭子(河合優実/24)が片思いしていた祖父・釜次(吉田鋼太郎/66)の弟子・豪(細田佳央太/23)と両想いになるまでが丁寧に描かれてきたが、次週予告では彼も出征することになること、訳ありのパン職人・屋村草吉(阿部サダヲ/55)が発する「戦争なんていい奴から死んでいくんだからな」という不穏なセリフから、《フラグじゃないよね》と、危惧する声は多い。
そんな『あんぱん』について、NHKの倉崎憲チーフ・プロデューサーは、3月31日配信の『スポニチアネックス』に作品に込めた覚悟を語っている。『アンパンマン』作者のやなせさんが悲惨な戦争を通じて、「正義」は簡単に逆転すること、そのうえで『アンパンマン』に「飢えた人に一切れのパンを与えることは、揺るがない正義だ」というテーマを込めたことを受けて、《このメッセージを伝えるのが私たちの使命》と、今年戦後80年を迎える日本の未来への思いが『あんぱん』に込められていることを明らかにしている。