■ミステリー不足な『恋は闇』
その一方、“ミステリー”パートは食い足りない印象で、この“恋愛”と“ミステリー”のバランスの悪さが、本作の不調の原因だと思われる。第1話、第2話と万琴と浩暉に関する描写が多く、連続殺人については話の進みが遅かったため、“ミステリー”を求めていた視聴者が離れたのだろう。
第3話になってようやく、“浩暉(志尊)が犯人で父親がかばって逮捕された説”や、“浩暉の二重人格説”などが出てきたが、すでに手遅れ。さらに、それらもミステリーではよくあるパターンであるため、ミスリードではないかと疑う声も少なくない。謎が広がるヒントが小出しすぎて、考察が今ひとつ盛り上がっていないのだ。
また、万琴(岸井)がディレクターを務める、情報番組の総合演出・野田役の田中哲司(55)、プロデューサー・蔵前役の西田尚美(59)という、考察ミステリーでおなじみのキャストも「またか」の印象があり、もし裏で事件に関係していても意外な感じがない。これも盛り上がらない理由だろう。
“恋愛”と“ミステリー”の両方で視聴者を引きつけようとしたが、バランスの取り方に失敗したというところだろうか。第4話では、連続殺人事件の犯人像が少しずつ浮かび上がる中、万琴が黒いレインコート男と遭遇する。じょじょに謎が明かされていきそうなので、今後の展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。