■メガネや服も再流行!

 同様に、00年代前半にビジネスマンの定番だった「リムレスメガネ」も再注目。当時はスーツスタイルとセットのイメージが強かったこのアイテムが、今ではファッションのアクセントとして若い女性の間で人気を集めており、親が使っていた眼鏡をそのままレンズだけ入れ替えてファッション用に活用する若者も。

「顔に馴染んでナチュラルに盛れる」「小顔効果もある」「母のお下がりだけど、今の服とも違和感なく合わせられる」という声も聞かれ、ふちがないナチュラルさと、程よく“知的”に見えるバランスがZ世代の感覚にフィットしているようです。

 他にも、90年代~00年代のストリートブランドは、今の古着市場でも人気。当時のロゴやタグが残るアイテムが高値で取引されており、“親のお下がり”がそのまま希少なヴィンテージとして注目されることも少なくありません。

 また、近年はビッグシルエットやオーバーサイズというゆったりスタイルが主流となっており、「父親の服でも意外と着れた」と、自分なりにアレンジして取り入れる若者も増えているのだとか。

「ダボっとしたサイズ感が逆に今っぽいと評価され、親の服が“再び活躍するチャンス”を得ています。90年代のストリート系ファッションとして人気だった『STUSSY』は現在、古着店で過去シーズンのスウェットやTシャツが若者の間でよく売れていると聞きます」(ファッション誌ライター)

 世代を超えた価値観の中で、実家のタンスやクローゼットから引っ張り出された「親のお下がり」がこれからも進化していきそう。

 アイテムに込められたストーリーや、共有された時間を背景に、モノが持つ“ぬくもり”そのものが評価される時代が始まっています。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。