■橋本環奈は変わらずハシカンだった

 とにかく、橋本環奈が生き生きと演じている鷹央がいい。エキセントリックで感情の振れ幅の大きいキャラのため、毒舌でオーバーアクションなコメディ演技が多いが、事件の謎を解くときなどのシリアスなシーンもビシッと決め、バランス感覚が素晴らしい。こういう地に足のついていないキャラをやらせると、橋本はうまい。

 また、バディを組む三浦翔平との掛け合いもいい。のびのびと演じる橋本をうまく受け止め、そのコンビネーションが心地よいリズム感を生んでいる。さらに、研修医・鴻ノ池舞を演じる畑芽育(23)の、鷹央と小鳥遊(三浦)へのウザ絡み具合も絶妙で、若くして名バイプレーヤーの存在感を発揮している。

 正直、『おむすび』のネガティブな余波があるのではないかと心配していたが、本作の橋本環奈の演技を見れば、その必要はないようだ。映画『キングダム』の河了貂や、映画『かぐや様は告らせたい』の四宮かぐやなど、人気キャラを演じて絶賛された、あのハシカンは今も変わらずハシカンだったようだ。

 第3話の平均世帯視聴率は5.8%と、第2話に続いて微減しているが、ほとんどのドラマは初回から前半にかけて数字を落とすもので、これなら十分に合格ラインといえる。ミステリーとしては浅いところがあるが、午後9時台という放送時間を考えれば、あまり深刻すぎないのが逆にいいのだろう。次回は麻酔科医殺人事件の解決編で、橋本演じる鷹央の活躍に期待できそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。