今田美桜(28)が主演、北村匠海(27)が相手役を務めるNHK連続テレビ小説あんぱん』。物語は日中戦争が勃発する昭和12年7月に突入し、細田佳央太(23)演じるメインキャラクターの出征、軍国主義に染まっていくヒロインなど、シリアスな展開が続いている。

【以下、『あんぱん』のネタバレを含みます】

 中園ミホ氏が脚本を手掛ける朝ドラ『あんぱん』は、国民的キャラクター「アンパンマン」を生んだ漫画家・やなせたかしさんと妻の小松暢(こまつ・のぶ)さん夫妻の生涯がモデル。今田が暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを、北村匠海(27)がやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じる。

「『あんぱん』は序盤から“大切な人の死”が描かれ、最近では河合優実さん(24)演じる主人公・のぶの妹・蘭子と細田さん演じる青年・原豪との出征前のプロポーズが話題になったりと、“泣かせる朝ドラ”として好評を博しています。

 第7週(5月12日~16日)も東京の美術学校で“自由”を学んだ嵩と、女学校で軍国主義に染まったのぶの価値観の違いからくる関係悪化が描かれるなど、見どころは多そうです」(テレビ誌編集者)

 後に夫婦となる同郷の幼馴染同士の一時的な対立。朝ドラとして王道の展開とも言えそうだが、実は史実と照らし合わせると、驚きの“真実”があるという。

「あまりにも自然で、いかにも史実を反映させたかのような物語が描かれている『あんぱん』ですが、実は、これまでののぶと嵩の交流は完全なフィクション。現実での暢さんとやなせさんは幼馴染ではない。2人が出会ったのは、成人後なんです」(前同)

 現実での暢さんとやなせさんの出会いは、1946年に高知新聞社に就職した2人が、同じ部署の、しかも対面の席に配属された、というもの。その後、暢さんが「代議士の秘書になる」という理由で退社して上京し、その約1年後にそれを追うような形でやなせさんも東京に出て、1947年に結婚したのだ。

 なお、『あんぱん』では中島歩(36)演じる一等機関士・若松次郎が登場することが予告されているが、彼のモデルは暢さんの最初の夫である小松総一郎さんであり、暢さんが高知新聞社に就職したきっかけも総一郎さんである。暢さんは女学校卒業後に日本郵船勤務の総一郎さんと出会い結婚したが、新婚早々に徴兵により召集され、彼が帰還後に病死してしまったことで働きに出たのだ。

「総一郎さんの死で暢さんの生活は困窮しましたが、彼の宝物だったカメラだけは手放せず、結果的にカメラのおかげで新聞社の求人に応募できて、その先で後の再婚相手となるやなせさんと出会う――この実話をストレートにドラマ化するのでも物語として成立しそうなだけに、嵩との関係を最初から幼馴染にするというのはかなり大胆なアレンジですよね。

 朝ドラはあくまで“モデルがいるフィクション”ですが、違和感なく仕上げたのはさすが中園さんですよね」(同)