■強力すぎる『金曜ロードショー』

 理由は明らかで、裏番組のライバル『金曜ロードショー』(日本テレビ系)の放送ラインナップが魅力的すぎたから。初回が『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、第2話が『スター・ウォーズ/新たなる希望」、第3話『君たちはどう生きるか』では、リアルタイムで本作を視聴する人は少なかっただろう。

 また、本作が“チームもの”というのも大きい。プロデューサー・畑中翔太氏は第4話の放送後、キャラクター造形に映画『オーシャンズ11』、構図にベテランの轟・桐石・浅見は“トニセン(20th Century)”、若手の宇崎・伊野尾・高井戸は“カミセン(Coming Century)”とたとえたコメントを発表。チーム感を意識して制作しているようだが、それが仇になった。

 話が進む中で、関係が徐々にできあがっていく“チームもの”は、序盤を見逃すと、そこまでに築かれた関係性がわからず、楽しみにくい。また、本作の本筋と思われる、バス事故の真相を追うミステリー部分も、裏番組から流れてきた途中参加では入り込みづらい。謎に包まれた敵役の存在、作品の設定・構成が、その難しさに拍車をかけたようだ。スタートダッシュに成功していれば、こうはならなかだったのだろうが……。

 次回の『金曜ロードショー』は、トム・クルーズ主演の最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の全世界一斉公開を記念した、シリーズ過去3作放送の第1弾「ゴースト・プロトコル」。またしても強敵が裏番組で、『イグナイト』の苦戦は続きそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。