■守秘義務契約解除の行方&裁判の可能性を弁護士が解説

 元フジテレビの女性アナウンサーAの代理人弁護士は《中居氏の今回の第三者委員会に対する文書提出に関して、現時点で被害女性としてコメントすることはありません》とコメント。

《代理人としては、このような中居氏の動きを受けて、Aさんら女性(元)アナウンサーに対する憶測に基づく誹謗中傷や悪意の攻撃が再び強まることを懸念しており、メディアの皆さまには特段のご配慮をお願いいたします》としている。

 中居氏側は守秘義務契約解除の提案をする可能性もありそうだが、そうなった場合、どのような流れになっていくのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士はこう解説する。

「守秘義務契約は、当事者双方の合意に基づいて締結されるものであり、その解除についても原則として両者の同意が必要です。したがって、中居氏側が《守秘義務を解除したい》と申し出たとしても、相手方である女性がそれに同意しない限り、契約は解除されません。一方的な意思表示では解除が成立しない点に注意が必要です」(以下、すべて正木代表弁護士)

――第三者委員会の調査に対し、守秘義務契約の解除を提案したとも中居氏側は主張しています。一方で第三者委員会の報告書には《中居氏側は、守秘義務の範囲内の事項についてはヒアリングに応じないとし》とあります。双方の主張は真逆だと思われますが、今後、この“対立”はどのように展開していくと考えられますか?

「中居氏側の主張と第三者委員会の報告内容は、一見すると真逆に見えるかもしれませんが、実際には本件の核心であり第三者委員会が重視した事実関係を、中居氏が回避しているだけの可能性があります。

 中居氏側の反論は、主に『密室で2人きりになった後の行為』に限定して『性暴力ではない』と主張しており、それ以前の経緯――たとえば、フジテレビ幹部へ女性アナウンサーの手配を依頼したバーベキューパーティ、被害者女性への虚偽の説明をもとにした自宅への誘導――といった点については明確な反論をしていません。

 若年で個人的な関係性のない女性に対し、社会的立場を背景に拒絶しづらい環境をつくる行為が問題視されており、そこに対する反論がない点は重要です。また、今回の発端となった被害者女性のPTSDに苦しむ投稿の存在を忘れてはならないと考えます。

 こうした構造を第三者委員会のメンバーが理解していることを前提にすると、今後、中居氏側の主張によって事態が大きく動く可能性は低く、一定の落ち着きを見せる展開が想定されます」

――裁判に発展するといった展開もあり得るのでしょうか?

「ご質問のとおり、法的紛争は多様であり、訴訟に発展する可能性がゼロとは言い切れませんが、現時点ではその可能性は高くないと考えられます。女性側についても、現段階で特別に法的対応を求められるような事態ではないと見ています」

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 中居氏側は守秘義務契約解除に向けて動くのか、その時、女性側は――。今後の事態の行方を、多くの人が注目している。

正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや離婚・相続・労働問題・交通事故・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。

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