■ほのぼので終わらない『最後から二番目の恋』
しかし、ただ視聴者の共感を呼ぶだけでなく、みか先輩のあくどい詐欺の手口で現実を突きつけて、退職後に希望を抱かせた夢から、千明(小泉)に目を覚まさせるエピソードも描かれた今回。退職金詐欺はいかにもありそうな話で、アラカン世代の男女のほのぼの話だけで終わらせないのが、このドラマの魅力だ。
第3話でも、典子(飯島)が専業主婦としての不安を千明に吐露したシーンが話題になり、X上で、《戦ってないって思ってた典子も、それを否定する千明も、やりとりすべてが愛おしい》など、大きな反響があった。一見すると、ワチャワチャしているだけに見えるが、単なる寓話で終わらないリアリティがあるから、幅広い年齢層の視聴者に受けているのではないか。
もちろん、演者たちも巧みで、全体のクオリティが高い本作。それもあって、2012年の第1期、14年の第2期をリアルタイムで見ていた、親も子ども世代もハマっているようで、X上では、《面白いな~親が見てた頃はまだそこまで面白さ変わらなかったけど今はこのドラマみると憂鬱な明日をなんとか乗り越えられそうな気がする》という声もある。
配信サービス・TVerのお気に入り登録数は121.3万(5月17日午前10時現在)で、ドラマ部門で堂々の首位。次回は、千明が“事実婚の恋人”にふんした和平(中井)とともに長野県の実家に里帰りし、母・有里子(三田佳子/83)が3期目にして初登場する。新キャラの参加で、視聴者の支持がさらに広がりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。