■実力・キャラともに十分な原菜乃華
兵隊さんたちに思いを寄せ、“正義”を掲げて軍国少女へと変わっていくのぶ。その陰で想い人の豪が出征し、悲劇のヒロインとなってしまった蘭子(河合優実/24)。戦争が朝田家に影を落とし、重く張り詰めた空気の中で、素直で明るいメイコの存在が救いとなった週だった。
本作は三姉妹のキャラクター配置が秀逸で、のぶは“正義”というテーマを体現し、蘭子はその“正義”がもたらす陰の側面を背負う。そんな中、どちらにも与せず、自由で奔放な希望を象徴するのがメイコ。これが物語のバランスを良くし、温かみを与えている。
当初から注目を集めていたのは河合優実で、朝ドラヒロイン候補として名前が挙がるのもうなずける、圧倒的な存在感を発揮。しかし、朝ドラの王道といえる清純派ヒロインにふさわしいのは、むしろ原菜乃華だ。子役時代から確かな演技力を培い、アニメ映画『すずめの戸締まり』でブレイク。大河ドラマ『どうする家康』で好演しており、NHKの視聴者にも馴染み深い。
現在、再放送中の朝ドラ『とと姉ちゃん』でも、ヒロインは三姉妹で、三女・美子を演じた杉咲花(27)がその後、『おちょやん』でヒロインの座を得ている。原菜乃華も『あんぱん』で三女・メイコを演じたことをきっかけに、NHKの朝の顔になるかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。