■今後は本格的な戦争に突入し……
好青年の豪(細田)と、親代わりで人格者の寛(竹野内)。2週連続で、序盤から出ていた優しい人たちが亡くなる展開には、
《豪ちゃんロスにうちひしがれるあんぱん民に月曜から追い打ち 戦争パート終わる頃には息絶えてそう》
《先週は豪ちゃん。今週は寛叔父さん。毎週月曜日からつらいイケメン竹野内豊が退場でもう見れないのは寂しいなー》
《この前の豪ちゃんの戦死のショックも抜けきれてないのにさぁ……。今度は寛伯父さんかよ………。なんでいい人ばっかどんどん死んでいくんだ……》
といった、悲しみの声が多く寄せられている。
「振り返ってみると、『あんぱん』は朝ドラでは異例と思えるほどに、序盤から多くの登場人物の死を描いてきましたよね。それも寿命や闘病の末などではなく、“突然の別れ”として……」(前出のテレビ誌編集者)
嵩(北村)の父・清(嵐・二宮和也/41)は本編開始前に病死しており、のぶ(今田)の父・結太郎(加瀬亮/50)もわずか放送4回目の序盤に心臓発作を起こして急死。嵩とのぶは、幼少期から辛い別れを経験することになった。
そして時代は進み、物語は日中戦争へ突入。前述のように、豪は蘭子(河合)にプロポーズして昭和12年(1937年)7月に出征したが、2年後の昭和14年(1939年)秋に戦死。結婚は叶わず、帰らぬ人となった。そこにきて、親代わりに嵩の面倒を見て、美術学校進学へ背中も押してくれた心優しき伯父・寛の死である。
「今回、医師の寛は多忙による過労で亡くなりました。ですが、『あんぱん』は今後、戦争の悲劇をしっかり描くと公式が明らかにしているし、実際にすでに豪が戦死しています。史実を考えると嵩らも戦争に駆り出されることになるし、大切な人が亡くなる展開が描かれることはほぼ間違いないでしょう。
史実に基づくと、のぶの現在の夫・次郎(中島)も亡くなると思われます」(前同)
次郎のモデルは、暢さんの最初の夫で日本郵船勤務の小松総一郎さん。彼は新婚早々に徴兵により召集され、帰還後に病死している。なお、現実では暢さんとやなせさんは幼馴染ではなく、出会いは総一郎さんの死後。昭和21年(1946年)に就職先の高知新聞社で出会い、翌年に結婚した。
「史実を踏まえると、嵩も戦争で“大切な人”を失うことになると言われていますね……。
これまでも物語の過程で戦争が描かれる朝ドラは多くありましたが、『あんぱん』では戦争で多くの若者が、理不尽に亡くなっていくまでがしっかりと描かれることになるのではないでしょうか。同作は朝ドラ史上、最も悲しい作品になるかもしれませんね……」(同)
『あんぱん』ではメインキャラクターであり、何か暗い過去を匂わせているパン職人・屋村草吉(阿部サダヲ/55)が「戦争なんていい奴から死んでいくんだからな」と、豪の出征前に、まるで経験談のように話す意味深なシーンもあった。
“いい奴から死んでいく”――『あんぱん』は、この言葉を体現する朝ドラになるのかもしれない。