■「昔のほうが良かった」と言ってるだけでは、前に進まない

 でも、「俺たちの時代は良かった。それに比べて今はダメ!」という言い方では、常に“老害”という言葉のカウンターを狙っている人たちに、隙を見せてしまうことになる。

 それが正論だとしてもだ。結果、前田さんのような令和の時代を生きる “恐竜”は、絶滅に追い込まれる可能性だってある。

 やっぱり「昔のほうが良かった」と言ってるだけでは、前に進まない。それは、この連載で、ずっと言っていることなんだけど。

 先日、『町中華で飲ろうぜ』(BS-TBS)で58歳の俺と60歳の太田光の、35年来の“因縁の対決”があってさ。爆笑問題との遺恨なんて、40代未満の若い世代からしたら、知らなくて当然だ。若い芸人からしたら、「話は古いし、うるせーよ、おめぇら」って老害だと思われてるよね。実際、俺も若い頃はベテラン芸人を、そう思ってたし。

 そこは腕の見せどころだ。新しい物もローディングするけど、古い話を、いかにファンタジックに語れるかにかかっている。

 俺がまだ20代の頃、すでに漫才ブームを経て大ベテランの域にいたザ・ぼんちさんが、いまだ現役で『THE SECOND』に出て爆笑を取るわけだからさ。

 涙出ちゃうぐらい面白い。温故知新の“ベスト老Guy”ザ・ぼんちさんに比べたら、俺なんて、まだまだ鼻タレ老Guyだ。

玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。