■残された嵩は罪悪感に苛まれることに
嵩(北村)の弟の千尋(中沢)は戦時中、海軍少尉として駆逐艦に乗船していたが、嵩は伯母・千代子(戸田菜穂/51)から、千尋が戦死していたことを24日放送回で伝えられた。仏壇には遺影が飾られていたが、骨壺には「海軍中尉柳井千尋霊位」と書かれた位牌しか入っておらず、骨は残っていなかった。劇中での説明はないが、撃沈した艦と共に海の底に沈んだのかもしれない。
千尋の死を受けて嵩は千代子に、自分は戦地で死にかけた際、夢枕に亡き父・清(嵐・二宮和也/42)が出てきたことを打ち明ける。千代子は「お父さんが守ってくれたがやね」と返すも、嵩は「何でだろう。父さん、僕なんかよりずっと優秀な、千尋を守ってくれればよかったのに。生きて帰ってくるのは、僕じゃなくて、千尋ならよかったのに」と、自己嫌悪に陥る。
それを千代子に「嵩さん! そんなこと言うたら、お父さんや(過労で急死した)寛伯父さん(竹野内豊/54)に叱られますよ」と、泣きながら諫められる――という場面が描かれた。
「『あんぱん』は、脚本を務める中園ミホさん(65)ほか多くの作品関係者が、“しっかり戦争を描く”という話をしてきました。特に6月18日放送回では、戦争の激化により食糧がなくなり、嵩らがタンポポの根を食べ尽くし、ついに栄養失調で行き倒れ――という、あまりにも壮絶な“飢え”の描写が話題となりました。
これは、『アンパンマン』の根底には、やなせさんが戦争で痛感した“飢えた人に一切れのパンを与えることは、揺るがない絶対的な正義”という哲学があるから。
物語が戦後復興期に入った『あんぱん』ですが、23日放送回では、戦争孤児が闇市で盗んだ2本の芋を6人で分け合って食べる姿もあった。ここから先しばらくは、“戦争が残した悲劇”が描かれることになるかもしれません」(前出の女性誌編集者)
のぶは夫・次郎を、嵩は弟・千尋を――大切な家族を亡くした2人は、今後どうなっていくのか――。