■『べらぼう』メインのヒロインは橋本愛

 X上では、《丸屋の「てい」、めちゃくちゃいいキャラだと思う。ビジュアルインパクトもあるけど、キャラの内面性の立ちっぷりもいい》《橋本愛ちゃんの目にすっと涙が浮かんだ瞬間、息をのんじゃった。強さと弱さが混ざった複雑な演技が良かった。 感情がダイレクトに伝わってきて泣けた》など、ていを演じる橋本を称賛する声が多かった。

 視聴者の反響の大きさからもわかるとおり、橋本の演技が圧巻。セリフがなくても、表情をあまり動かさなくても、ていの胸中にある無念の思いが伝わってきた。無口で不器用な役が似合う、俳優・橋本愛の本領発揮といったところだ。

『べらぼう』の主人公は蔦重なのだが、瀬川(小芝)、誰袖(福原)、ていと、物語を動かすキーマンはみな女性。しかし、瀬川は純愛を貫いていく“理想”、誰袖は人間の色と欲を体現した“現実”、そして、ていはこれからの“未来”としての象徴で、それぞれタイプは違う。ていは蔦重の妻として共同経営者として、最重要の女性キャラなので、2人の花魁以上の活躍を見せそうだ。

 橋本が大河ドラマで主人公の妻を演じるのは『西郷どん』『青天を衝け』に続いて3度目となる。ていは脚本家・森下佳子氏によるオリジナルキャラなので、橋本も自由に役作りができているようだ。これまでの大河ドラマで見たことがない、新たなヒロイン像を演じれば、橋本は小芝や福原より高い評価を受けることになるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。