■演技派ベテラン俳優との演技合戦となるか
妻夫木、二宮以外にも、嵩(北村)の母・登美子役の松嶋菜々子(51)、伯父・寛役の竹野内豊(54)、のぶの妹・蘭子役の河合優実(24)、のぶ(今田)の祖父・釜次役の吉田鋼太郎(66)、朝田家を助けてくれたパン職人・屋村草吉役の阿部サダヲ(55)と、『あんぱん』の豪華キャストは挙げればキリがない。
また、『あんぱん』では寛が過労死で亡くなる回、草吉の過去が明らかになる回など、主演の今田以外のキャストが目立つ回も多く、それらが“泣ける神回”として、視聴者に強い印象を与えているのだ。
「これまで“神回”を連発してきた『あんぱん』ですが、朝ドラは、戦時中が物語の山場になりがち。戦争ほど大きな出来事はありませんからね……。戦後はちょっとしたトラブルが描かれることはあっても、主人公たちが戦後復興期を生きる、平穏な日常が描かれるパターンが多いんです。そうなると“中だるみ”の恐れがあるわけで……だからこそ、ここから今田さんの演技で、物語をしっかりと盛り上げられるかが重要になりそうです。
特に、すでに登場している東海林役の津田さん、今後の登場が明らかとなっている戸田恵子さん(67)との演技合戦には注目ですよね」(前出のテレビ誌編集者)
東海林はのぶが就職した「高知新報」での上司として、のぶと多くの絡みがあると思われる。
戸田は、のぶが高知新報時代に出会う高知出身の代議士・薪鉄子役で出演する。戸田は声優としてアンパンマンを演じていることで知られるため、そういう意味でも“特別な役割があるのでは?”と期待する視聴者は多い。
『あんぱん』公式サイトでは鉄子のキャラ設定について《後にのぶの人生に大きな影響を与えていくことになる》という意味深な記述もある。
さらに言えば、史実で暢さんは「代議士の秘書になる」という理由で高知新聞社をやめて上京し、それを追う形でやなせさんも1年後に上京し、結婚に至っている。戸田演じる鉄子が、その“代議士”である可能性は高そうだ。
「津田さんと戸田さん、2人とも大ベテランの演技派俳優ですよね。また、今田さんは大声での演技も上手な俳優ですが、津田さんと戸田さんは声優として活躍していることから、声の力強さ、説得力も段違いです。今田さんが彼らを相手に、いかに説得力のある名演技を見せられるかが、今後の『あんぱん』のクオリティに影響を与えるのではないでしょうか」(前同)
『あんぱん』の今後に期待すること、今田が津田、戸田との“演技合戦”を繰り広げることについて、朝ドラウォッチャーであるドラマライター・ヤマカワ氏はこう話す。
「前半戦で加瀬亮さんや竹野内豊さんが退場し、イケオジ枠が寂しくなったところに、津田健次郎さんの投入はありがたいですね。声優としても大活躍の津田さんは、竹野内さんと並ぶイケボイスなので、目に耳にうれしい役柄になりそうです。
同じ声優といえば、ついに『アンパンマン』声優の戸田恵子さんの登場ですが、のぶのモデルとなった小松暢さんと直接会ったことがあるそうです(6月26日放送、TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』で発言)。これは、本作の俳優陣の中でも貴重な存在なので、役柄で、のぶの人生に大きな影響を与えるだけでなく、女優としても、暢さんから受けた印象を伝えることで、今田さんにのぶを演じるうえでのヒントを与えてくれるのではないでしょうか」
壮絶で、見どころ満載だった戦争編が終わった『あんぱん』。素晴らしい演技を見せた北村(嵩)に代わって今田は主演として、存在感を発揮できるか――。
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。