■第1位は、『めおと日和』が今後の恋愛ドラマの潮流に
1位 芳根京子『めおと日和』はフジドラマの新発明 ヒット『続・続・最後から二番目の恋』との意外な共通点は新しい恋愛ドラマの潮流になるか
芳根京子(28)主演の連続ドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系/木曜よる10時~)の第9話が、6月19日に放送される。12日放送の第8話は、深見(小関裕太/30)と芙美子(山本舞香/27)の“ふかふみ”ペアに焦点が当てられ、さらにキュンパワーが増していた。
同ドラマは、漫画アプリ「コミックDAYS」で連載中の西香はち氏の同名コミック(講談社)が原作。昭和11年の春に交際ゼロ日で結婚した、なつ美(芳根)と江端瀧昌(本田響矢/25)の甘酸っぱい時間を描くハートフル昭和新婚ラブコメ。最終回が間近になり、《絶対シーズン2か、スペシャルか、映画化して欲しい》など、シリーズ化を期待する声も多い。
第8話は、海軍の仕事で出立していた瀧昌は帰宅する日を迎えるが、なつ美の父・関谷篤三(高橋努/46)に呼び出され、彼の手伝いをしている瀬田(小宮璃央/22)と3人で食事をすることに。その帰り道、瀬田は瀧昌に、なつ美のことが好きだったが、もうやめると打ち明け、瀧昌といる彼女を見たら、自分の入る隙はないと語った。
一方、深見と芙美子の縁談の話が進み、お見合いをすることに。本心を隠したように話す芙美子に対し、本音で話したい深見。彼女の建前を崩そうと、舌戦を繰り広げてしまう。しかし、その場を抜け出すと、2人は本音で語り合い、距離を近づけていく。お見合い後、深見は「まいったな、江端のことバカにできないなぁ」と漏らし……という展開。
視聴者のX上の反響は、《正直、見たことない物語ではないと思うの。設定、キャラ、シチュエーション、展開には既視感もあるんだけど、なんていうか、演出とか役者さんたちとか、Xで盛り上げてくださる原作者さんとかが、丁寧に命を吹き込んだ結果、見たことない、かわいくて愛おしいドラマになっている》などと、絶賛の声ばかり。
指摘にあるとおり、物語としては、そんなに新しいものではない。しいて“新しさ”をあげれば、戦時中のラブロマンスという点だ。戦争による悲劇要素はゼロで、戦争は視聴者の不安をあおって気持ちを高める仕掛けに使い、徹底的にキュンにこだわっている本作。これまで、戦中の悲恋を描くドラマはあったかもしれないが、ここまでメロいのはなかった。
ありそうで実はなかった恋愛ドラマという点では、今期ドラマの中でヒットしている『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系/月曜よる9時~)も同じだ。こちらは50代以上の男女の恋愛で、しかも結婚などにはこだわらない、新しい大人の関係を提示しているのが斬新だ。どちらも同じフジテレビ系というのが、興味深い。
最近のGP帯の連続ドラマは、ストレートな恋愛ものでは視聴者の支持を集めにくい。価値観が多様化したこともあって、“生きづらさ”などの社会に対する問題提起を入れ込んだり、はたまた恋愛と考察ミステリーと合体させたりなど、各局が恋愛ドラマ作りで苦労している。
その点、『めおと日和』も『最後から二番目の恋』も大きな事件は起きず、ほんわかした日常を描いているだけに見える。だが、50代以上の恋、戦時中のうぶキュンといった、新鮮な要素があれば、ここまで視聴者に支持される。実は画期的なことなのかもしれず、意外な視点で描くほんわか恋愛路線は、今後のフジテレビ恋愛ドラマの新しい潮流になるかもしれない。
社会現象レベルの人気になっている『めおと日和』もラストが近くなっている。第9話は、なつ美と瀧昌は結婚1年目を迎え、なつ美の二番目の姉・あき奈(咲妃みゆ/34)の出産を手伝いに実家へ。2人は自分たちの子どものことを意識し始めるという。深見と芙美子も新しい展開を迎えるようで、最後までキュンな展開が貫かれそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。