■高橋海人の成長は中村倫也にかかっているか

 一方、キャストの中で不安なポイントは高橋海人だ。公式サイトのコメントでも、《最初にオファーをいただいた時は「僕で大丈夫なのか?」という不安もあった》と明かしている。また、撮影現場に入ってからも、毎日勉強させてもらいながら撮影に臨んでいる状態らしく、すでに連ドラの主演経験があるとはいえ、演技力はまだ未知数のようだ。

 この手のクセの強いドラマは、話題的に世界観が先行するが、なじみのない設定を視聴者に違和感なく楽しませるには、独特なキャラを演じる俳優がポイントとなる。『SPEC』の成功も、天才だがドSな性格の捜査官・当麻を演じた戸田恵梨香、頑固で几帳面な性格の肉体派刑事・瀬文を演じた加瀬亮の力によるところは大きかった。

 高橋も、『だが、情熱はある』(日本テレビ系)で芸人のオードリー若林正恭、『95』(テレビ東京系)で1995年の渋谷を生きた高校生を演じ、役柄に寄せる努力は高く評価されていた。しかし、演技の幅などを考えると、それほど器用なタイプとは思えない。そのため『DOPE』では、高橋がどこまで才木優人を演じられるかが鍵になる。

 King & Princeは永瀬廉(26)と2人体制になり、高橋はドラマや映画の仕事も増えてきたが、俳優としては発展途上だ。ダブル主演する中村倫也は、高橋を「一生懸命な年下」で「丁寧に育てています」と公式サイトでコメントしている。そんな高橋が本作で急成長できるか、今後のキャリアとともに注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。