日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが“乗った・乗りたかった”あの一台をプレイバック!

技術の日産を感じさせたスポーツセダンの傑作

■熟成された4輪独立式サスペンション

 今の日本車メーカーは、海外生産も含めて販売総数の80%以上を海外で売る。そのために日本市場の優先順位が下がり、新型車の発売も滞るが、1990年頃は日本と海外の販売比率が約50%ずつだった。そのためにボディは日本向けの5ナンバーサイズでも、走行性能は海外向けに熟成させた商品開発も見られた。その代表が1990年に登場した初代日産プリメーラだ。

1990年の登場だから、中古車市場にほとんど流通していない。それでも人気車なので、程度の良い車両は160万円を上回る。古いクルマだから、購入後には相応の出費を要するだろう。

 外観はシンプルだがボリューム感も伴って、まさに欧州車風だ。後席の居住性も優れていた。サスペンションは4輪がそれぞれ独立して動く4輪独立懸架になる。乗り心地は硬く感じたが、走行安定性は当時の国産ミドルサイズセダンでは際立って優れていた。これは1990年代までに技術の世界一を目指す、日産の「901運動」の成果でもあった。欧州車から乗り替えるユーザーも多く、技術の日産の復活ともいわれた。

外観と同様、インパネの周辺はシンプルなデザインだ。それでも造り込みは細部まで上質で、内装も欧州車感覚だから人気を高めた。
エンジンは直列4気筒の1.8Lと2L。2Lはプレミアムガソリン仕様で最高出力は150馬力だ。扱いやすく、しかも吹き上がりが良かった。