■おとぎ話ばかり言っているオヤジは老害以外の何物でもない

 この連載のテーマ、ジェネレーションギャップでいったら、やっぱり父と子、爺と孫だよな。なんでも吸収しやすいスポンジのような時期に子供が大人から聞いた話を、どう受け止めるか。

 ティム・バートン監督の映画『ビッグ・フィッシュ』のように、嘘か本当か分からない、おとぎ話ばかり言っているオヤジは、信用されなかったりする。

 大人になれば分かるんだけど、子供からすると老害以外の何物でもない。

 俺ん家は、新宿に3階建ての“赤江ビル”を持っていた。じいちゃんは酔って気分が良くなると、「このビルはな、野球賭博で買ったんだ、祐一!」って言うんだよね。

 じいちゃんは株の場立ちをやっていた。昭和39年に大洋ホエールズの親会社であるマルハを1点買いして儲けたカネでビルを建てたらしい。後から聞いたら、インサイダー取引だったって言うんだから笑うよ。

 まあ、当時も今も株取引なんてものは、博打と一緒。“野球賭博”ってのは、間違ってない。

 じいちゃんのおとぎ話は魅力的だったよ。

玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。