■木村文乃がラウールの力を引き出す

 しかし、そんな役柄以上に、木村はラウールを引っ張ることが期待されているのは明らか。公式サイトで木村は、ラウールの印象を問う質問に、「とても努力家なんだろうなと感じる瞬間があって」「私も豊かな心で撮影に臨むことができました」とコメント。真剣に取り組んでいるラウールに刺激を受けた木村が、ラウールの芝居の伸びしろを引き出してくれるだろう。

 物語自体はベタベタで、高校教師とホストというまったく違う世界に生きる2人が共感しあい、さまざまな障壁にぶつかりながらも“愛”を求めていくという、いつかどこかで見たパターン。「こうくるだろう」と思ったら、本当にそうくるという展開が予想され、新しさは全く期待できそうにない。

 一方で、ストーリー展開には気を取られず、木村とラウールの2人に集中できる親切設計とも言える。だからこそ、ラウールの演技が重要で、それを引き出す木村に期待したい。それがうまくいけば、トップアイドルのラウールだけにファンの後押しだけで数字は取れる。特に配信サービス・TVerの再生数は、すごい数字になるはずだ。

 ラウールと同じSTARTO ENTERTAINMENT所属の松田元太(26)が主演した、前期放送の『人事の人見』(フジテレビ系)は、松田のキャスティングが優先されたドラマだったが、本作も同じ路線と言える。ただ、『人事の人見』はチームで動くお仕事ものだったこともあって、サブキャラがフィーチャーされることが増え、後半はおバカでピュアで型破りという、松田らしさが薄くなっていた。

 だが、『愛の、がっこう。』は、明確に木村とラウールをフィーチャーし、2人の世界に浸っていく物語だと思われる。そうなれば、最後までラウールの魅力を存分に楽しめるドラマになるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。