■「良く眠る」ための新しい旅のスタイル「スリープツーリズム」
グッズやアプリのみならず、ここにきて注目されているのが、「スリープツーリズム」と呼ばれる新たな旅行スタイルです。宿泊施設が睡眠の質向上に特化したサービスを提供し、質の良い眠りを目的に旅行を楽しむ動きが出てきています。
たとえば福岡の原鶴温泉にある旅館「泰泉閣」では、客室リニューアルにより「睡眠にこだわる部屋プラン」を設けました。通気性に優れたコアラマットレスを使用し、湿気の多い梅雨時期でも快適な睡眠環境を実現しています。マットレスの硬さや枕の種類も選べるなど、細部まで工夫が凝らされています。館内のボディケア施設と温泉が心身のリラックスを促し、睡眠を助ける成分「トリプトファン」を含む地元産食材を使った「睡眠料理」も提供されています。
「睡眠ビジネスはまさに技術と健康意識の融合によって大きく進化。その市場は2022年の60億円から2027年には約175億円へと3倍近い成長が見込まれています。厚生労働省も『将来的には体温計や体重計のような使い方を、睡眠測定デバイスでも進めていくべき』と提言しており、『眠り改革』が到来しそうです」(生活情報サイト編集者)
睡眠不足がもたらす経済的影響は、個人の健康のみならず、企業や社会全体のパフォーマンスにも直結します。今後も睡眠改善の技術革新とサービスの多様化が進み、快適な眠りを支えるビジネスの拡大は確実。質の良い睡眠は健康の土台であり、生産性や幸福度向上の不可欠な要素として、社会的に重要視されていくことでしょう。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。