■『初恋DOGs』韓ドラ寄せは成功するか?

 ソウルロケシーンに加え、ばったりの出会いが多かったり、展開にスピード感があるなど、かなり韓国ドラマに寄せた内容の初回だった。本作は、地上波の放送とU-NEXTなどの配信に加え、韓国での国内放送および配信、さらに世界で配信されることが決定しているので、思い切って寄せてきたのだろう。

 それもあってか、韓国の人気俳優であるナ・イヌをかなりフィーチャーしている印象だ。ナ・イヌとの7センチの身長差もあって、成田凌が霞んで見えていたぐらいで、清原果耶も主人公としての存在感も薄かった。実際、視聴者の間では“ナ・イヌ沼”が早くも発生しているようで、制作側の狙い通りといったところだろう。

 しかし、ドラマが成功するかは別の話だ。韓国ドラマに寄せれば良いわけではない。もし韓ドラテイストが好きなら、本場の韓国ドラマを見ればいいのだ。実際、チェ・ジョンヒョプ(32)が出演した同枠の『Eye Love You』が、全話平均視聴率が5.9%と、そこそこの数字で終わったことを考えると、ナ・イヌパワーだけでヒットを望むのは厳しいかもしれない。

 そうなると、わんこパワーが無視できないだろう。人間より先にサクラと将軍の番組オリジナルグッズが出ているうえ、演出の岡本伸吾氏は物語のテーマを「登場する犬たちのようにもっとシンプルに相手を愛せよ」だとコメントしていて、わんこをかなり重視している。人気俳優といえど、わんこの魅力にはかなわないので、本作の成功はサクラと将軍にかかっているようだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。