■『鬼滅の刃』一挙放送で週平均“視聴率1位”奪取
フジテレビの2025年夏の新人事発表では、《今回の組織改編の大きな狙いは2つあります。1つは、コンプライアンス意識を向上させ、職場の心理的安全性を高めるために、「コーポレート部門」を強化することです。そして、もう1つは、会社が今後「コンテンツカンパニー」として生き残り、成長していくために、従来の地上波放送枠をメインとした考え方を一変させた組織構造の変革を図ることです》と説明があるという。
さらに《成長戦略としては自社IP(※知的財産)の開発を加速させるため「アニメ事業」と「IP事業」「MD事業」を統合し、優良IPからの収益を最大化させるための体制を整えます》という記載も。
「清水社長は『ドラゴンボール』、『ちびまる子ちゃん』、『HUNTER×HUNTER』などを手掛けてきたアニメ畑出身ですからね。親会社のフジ・メディア・ホールディングスが5月16日に発表した『改革アクションプラン』では、5年かけて2500億円の成長投資を行なうとしましたが、6月11日放送の『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)に出演した清水社長は2500億円の半分をアニメなどのコンテンツ事業に充てるとも明言していました。
そんな清水社長の今後の狙いが間違っていないであろうことが見て取れたのが、“検証番組”が放送された6月30日から7月6日までの1週間のコア視聴率(テレビ各局が重視する13~49歳の個人視聴率)だったのではないでしょうか。『鬼滅の刃』がとんでもないコア視聴率をたたき出し、フジテレビの週平均視聴率を牽引することになりましたからね」(前出の広告代理店関係者)
7月18日の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』の公開を前に、フジテレビでは6月28日から7月17日にかけてアニメ『鬼滅の刃』の「無限列車編」「遊郭編」「刀鍛冶の里編」「柱稽古編」を一挙放送。
「7月3日には『遊郭決戦編』が、4日には『刀鍛冶の里 敵襲編』が、6日には『刀鍛冶の里 繋いだ絆編』が放送されたのですが、それぞれのコア視聴率は5.8%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)、6.2%、8.3%ととんでもない数字だったんです。これらはいずれも同時間帯断トツトップの数字。フジテレビでは、通常のレギュラー放送の番組ではコア視聴率3%以上を取るものが一握りしかない状態ですから、いかに『鬼滅の刃』が突出しているかが分かりますよね。
『鬼滅の刃』の大活躍で、フジテレビは同週のコア視聴率の週平均、ゴールデンとプライム帯で1位を奪取しました」(前同)