■新米指揮官の評価は真っ二つ!?

 その阪神を追う巨人は、至上命令とも言えるリーグ連覇に黄信号。離脱の岡本和真(29)に加えて、戸郷翔征(25)まで絶不調と、投打の柱を欠くが、阿部慎之助監督(46)には、「優勝した昨季のような冴えがない。人が変わった」との声も。

 巨人で長くコーチを務めた秦真司氏も「この状況でよく踏み止まっている」としつつ、こう続ける。
「若手投手陣の台頭を促した昨季の積極起用を、おそらく今季は野手でもやりたかったはず。実際、泉口友汰(26)や増田陸(25)らの活躍も目立ちます。
 ただ、昨季の成功は、菅野智之(35)という大黒柱がいればこそ。岡本を欠く今、同じことをやろうとしても、当然ながら目算通りにはいきませんよね」

 となれば、抜本的な方針の見直しも必要そうだが、そこは勝つことを宿命づけられた巨人野球の性。染み付いた“横綱相撲”からの脱却は容易ではないという。

「盗塁数を見ても、阪神の61に対して、巨人は31と極端に少ない。チームに勢いを出す意味でも、もっと仕掛けはするべきです。吉川尚輝(30)ら、もともと主力にも走れる選手は数多い。指導者の側が“行ける根拠”を与えてやるだけでも、状況はかなり打開できると思うんですけどね」

 仮に巨人がこのまま下降線をたどるなら、優勝争いは阪神・広島・DeNAの三つ巴になる公算が高い。
 とりわけ、昨季9月に大失速を経験した広島は、新井貴浩監督(48)も、胸中には思うところがあるだろう。

 前出の秦氏が言う。

「直接話した際も、新井監督は“エース級との対戦が続く中で、投手陣に余計な重圧を与えてしまった”と反省を口にしていた。ヘッドの藤井彰人コーチも“野村ID”の薫陶を受けただけあって、適材適所の起用がうまい。新助っ人、ファビアン(27)らの活躍で、懸案の得点力も上がっていますから、今季の広島はひと味違うと思いますよ」

 対するDeNAは、接戦でモノを言う中継ぎ・抑えのコマ不足が不安要素。 
 本人任せのままで一人、中4日ローテを続けるバウアー(34)を、どうコントロールしていくかも、三浦大輔監督(51)にとっては頭の痛い問題だ。大リーグにも精通する前出の藪氏が言う。

「いくら本人が大丈夫と言っても、中4日で毎試合120〜130球という状況は、なかなかの酷使。どういう契約なのかは分からないが、中5日を基本にするなどの対策は必要かも。もっとも、DeNAは他に先んじてデータ解析を積極的に取り入れた“AIベースボール”が売り。数字とも適宜、折り合いをつけないといけない分、三浦監督も大変だと思うよ」

 地獄としか言えないのが、上昇の目が見えない2チームの指揮官だ。

「中日の井上一樹監督(53)は、1年目だからまだしも、ヤクルトの髙津臣吾監督(56)は、日本一経験のある名将。クビは確実だね」(前出の専門誌記者)

 シーズン終了後に笑うのは――!?

■監督通信簿 セ・リーグ

   監  督  名    総 合  采 配 育 成      寸 評                     
藤川球児(神)                若手の積極的起用と評論家時代に培った野球論を武器に、チームを優勝候補の筆頭に導いた手腕は確か。ただ、厳しすぎるとの声も。
三浦大輔(De)       投打にわたってタレントぞろいの陣容かつ、セ・リーグ屈指のスコアラー部隊を擁しながら、阪神の後塵を拝するのは監督が原因か。
新井貴浩(広)       昨季の大失速は先発投手の引っ張り過ぎというデータあり。今季も改善されておらず、チーム打率は首位ながら投壊が懸念される。
阿部慎之助(巨)          優勝チームの指揮を執り、大型補強したのにもかかわらず、勝率5割程度に低迷。だが主砲とエースが離脱したわりに健闘しているとの声も。
井上一樹(中)       中途半端な采配と勝負弱さが目立つ。若手を丁寧に起用する一方、育成の方針や昇格ルートが曖昧で、成果に継続性を欠くのが課題。
髙津臣吾(ヤ)       実績ある名将だが、今季は采配の精彩を欠き最下位に低迷。育成姿勢は評価できるものの、勝利との両立には限界が見え、首筋が寒い。