ソフトバンクホークスが6年ぶり9度目の優勝をして幕を閉じたセ・パ交流戦。ペナントレースも半分を消化した形だが、監督の采配で優勝戦線に名乗りを上げたチーム、自力優勝が危ういチームなど千差万別。上半期における指揮官たちの監督力を徹底査定!!
パ・リーグは、開幕前から「今年こそ優勝」と公言する新庄剛志監督(53)の日本ハムが首位を快走。
その“劇場型采配”も今やおなじみ。選手たちにも受け入れられつつあるようだ。
「くすぶっていた清宮幸太郎(26)に“痩せたほうがモテるよ”と言って肉体改造させて、1軍に定着させたのは有名な話。他にも郡司裕也(27)などは本職の捕手以外にも一塁、三塁、外野までこなすが、当人が守備位置を知るのは試合当日。チーム自体も他球団以上に1・2軍の入れ替えは激しい。それでも不平不満が出ないのは、それが浅慮ではないことを選手たちが知っているからです」(スポーツ紙デスク)
経験の浅い若手に、成功と失敗の双方を積極的に体験させていることもポイントの一つ。“新庄マジック”は、“勘ピュータ”ではない、こうした積み重ねが、4年目にして結実してきているのだと、巨人で長くコーチを務めた秦真司氏が言う。
「五十幡亮汰(26)などは足こそ速いが、成功率60%強と盗塁自体はうまくない。それでも新庄監督は、彼が出塁するたびにサインを出し続けるわけですよ。そういった経験の一つ一つが戦力の底上げにつながり、財産になっていく。それが証拠に、序盤の原動力だった主軸の野村佑希(25)を欠いた後でも、チームは遜色なく戦えていましたね」
各種のデータを見ていくと、チーム完投数14は、2位につけるセ・リーグトップの広島の8をはるかに上回って、12球団で断トツ。
投手出身の吉井理人監督(60)が率いるロッテが、いまだに完投0と、パの最下位で地獄にあえいでいるのとは対照的な戦いぶりだ。
「先発が長いイニングを投げてくれれば、それだけリリーフ陣にも心の余裕が生まれる。シーズンを通した疲労度も、まったく変わってきますから、心身ともにいい影響しかないですよ。しかも、完投したら一度ローテを飛ばすなど、先発陣のケアもやっていると聞く。そうしたリスクマネジメントからも、彼の本気度がうかがえます」(秦氏)
このままチームを優勝という天国に導けるか。